第665回 豪州ノックス校における勇気あるチャレンジ!(2)

2013年5月9日

 豪州メルボルン市のノックス校へ、昨年度末に2か月近い留学生活に挑戦した2人の在校生については、4月25日にまず現在高3生の神谷達城君のことを紹介しました。今日は、現在高2生の井上崚河君について紹介します。

 

 井上君は現在合唱部に在籍し、数少ない男声部のエースです。地域の合唱団での経験もあり、歌や洋楽が大好きな青年です。将棋もかなり指せるので筆者もよく知っています。集中力に優れ、前向きで礼儀正しい生徒です。

 彼も昨年夏の豪州セミナーに参加しました。秋のノックス校来日訪問の時期にも、ご自宅に招いた生徒を学園生活で熱心に付き添い、案内する姿が印象的でした。夏は現地の小学生とのふれあいの機会にも恵まれましたが、相互の訪問を通じてノックス校の高校生や中学生の友だちが増えてきて、もっと彼ら彼女らとじっくり交流したいと願ったのが、今回の留学の動機でした。
 
 ホストファミリーになって頂いたのは、南アフリカ出身でインド系のご家庭でした。学園へも来てくれた男子生徒さんです。ご両親と弟君の4人家族で、クルマで送り迎えしてくれました。やはり緑豊かな住宅街でお家のサイズは大きく、庭でボール投げして遊ぶこともあったそうです。週末には動物園や巨大なショピングモール、バッフェなどへ連れて行ってもらいました。

 

  井上君が一番楽しみにしていた授業は、やはり音楽でした。音楽室の各座席にパソコンとオルガンが備え付けられていることにまず驚き、作曲や鑑賞、楽器演奏など多彩な活動を楽しみました。昼休みを中心に活動する混声コーラスのサークルにも入って歌ったというから、さすが井上君です。
 
 次に「スポーツサイエンス」の授業が印象深かったです。様々なスポーツの解説授業と運動実習がセットで進行し、このスポーツではこの筋肉が使われるといった運動生理学を体験を通じて学ぶそうです。人体のイメージをいつも持ってスポーツを学び、時にはスポーツテストも入ったそうで、運動の得意な子も苦手な子も伸び伸び参加したそうです。
 そして化学の授業が良かったとのことです。70分授業で座学と実験がセットで、ペーパークロマトグラフィーなど多彩な実験に積極的に参加できました。
 
 英語の授業は、インターナショナルクラスで中国系の生徒が多く、テキストの読みとQ&Aを基本にグングン進められました。井上君は、アメリカ本土やハワイに何回かご家族で行かれたことがあり、英会話も小さい頃からやっていて、授業のヒアリングはすぐに慣れてきて、スピーキング共々どんどんトライ出来るようになったそうです。昼食はお弁当で、ミートパイやベジマイトをパンに塗る軽食もお気に入りになりました。

 

 今回の留学で一番良かったのは、同学年、同世代を中心に数多くのノックス生と触れ合うことが出来て、友だちがめちゃめちゃ増えたことです。100名くらいいたかもしれないそうです!
 ノックス校もメルボルン市も極めて国際的な環境です。ヨーロッパ系もイタリア、ドイツなど多様で、アジア系も中国、韓国、インドなどいろいろです。中国系の人たちも皆フレンドリーで、おおぜい仲良しになりました。相手の名前で民族のルーツを推しはかれることもありました。

  街の雰囲気は日本ほど窮屈でなく、歩道帯は広くて、信号は押しボタンが基本ですが、歩行者優先の交通の雰囲気が印象に残りました。メルボルンの市街地は古い建物も大事にされ、街並みはきれいで、人が多くてもゆとりを感じました。帰国すると日本は狭いと思いましたが、ちょうど桜の満開に迎えられた頃で、日本の街や文化にはやはり日本の良さがあると痛感しました。特にお風呂に入って湯船につかった時は幸福感にひたれました。

 

 いま改めて振り返ると、ノックス校の生徒や先生のフレンドリーな関わりやサポートが本当に心温まる素適なものだったそうです。男女を問わずどんどん声をかけてくれます。初日にまだ会っていない女子からメールが届いたそうです。これからよろしく・・・オーストラリアはどうですか好きですか・・・という挨拶でした。十分にわからないこともあるとは思うけど、見聞した範囲ではいじめなんてなさそうだし、泣いていたり、孤立して暗かったりする生徒がいなかったそうです。
 帰国する前日から、出来た友だちと別れるつらさで涙が止まらなかったそうです。海外にお互い離れても英文でさっとメールを往復できる喜びが支えです。

 

 将来の進路方向はまだ未定ですが、英語を使えて、海外の人たちと関われて役立つことが出来る仕事を見つけたい、と語ってくれました。大学進学後には海外で一年以上の留学にトライしたし、しばらく住んでみる経験もしてみたいと語ってくれました。井上君はこの学園で、韓国セミナー、豪州セミナー及び留学と、めいっぱい海外研修で視野と経験を深めてきた生徒の一人です。いまの志を大切に、国際的な架け橋で活躍していく人材にきっとなるだろうと期待しています。