この東北被災地視察をどう活かすのか

2018年7月23日

高等学校1年 長嶋 涼太

今回、沢山の方々からのご支援の元、東北の被災地を視察させて頂くことができた。
そして、地震大国である同じ日本で起こった地震であるならば、その被害・現状を共有し、その経験を自分の次の地震に備えるための糧としなければならない。被災地の復興のためにも、被災地の「今」をより多くの人に知ってもらわなければならない。神奈川に帰り、私の東北視察のプレゼンが少しでもその役に立つのならば、何回でもプレゼンをする。そう思っていた。
しかし、ある時ふと疑問に思った。この方法で、私が視察で得た「貴重なもの」を私はしっかり活かしきれているのだろうか?もっと直接的に活かす方法はないのだろうか?

私が今回の東北ツアーで最も強く感じたのは、「人と人との繋がり」の重要性だ。

例えば南三陸での福興市は、震災があった1ヶ月後の4月に、既に1回目が始まっている。「あの人は生きていた」と地域の人の安否の確認ができた。それから毎月欠かさず続けられ、視察に行った時の福興市は77回目だった。普段の、地域の人々の繋がりがあってこその1回目。その1回目があってこそ、77回まで開催できたのだと思う。
入谷YES工房にしても、この福興市にしても、立ち上がろうと声を上げた人の声が、沢山の人に届いたことが重要であると思う。南三陸町の町民全員が立ち上がれたわけではないと思うからだ。その声を地域に広めたのは、やはり地域の人々の繋がりであったのだ。

しかし、私の学校では、地域との繋がりが全くと言って良いほど無い。学校は海の近くにある。津波が来たら、当然地域の方々も学校に避難してくるだろう。それなのに、津波が来た想定の避難訓練は学校だけで行なっている。それも、屋上まで登って終わり。普段は屋上の鍵は開いていない。つまり、先生が屋上の鍵を持ってこないと全校生徒は避難できないのだ。

この問題だらけの避難訓練を変えたいと、このツアーを通して改めて感じた。そこで、「この東北ツアーでの貴重な経験を直接活かせるかもしれない!」と思った。

まず、全校に対して東北ツアーのプレゼンを行い、東北の現状と津波の怖さを知ってもらう。そして生徒一人一人の津波に対しての意識を変える。今の避難訓練では、地震には対応できない、と訴える。避難訓練を変えるのはそこからだ。
次に、赤十字社に協力してもらい、地域で防災セミナーを開く。湘南学園の生徒がそれに関わることで、災害に対する対応を学びながら、地域と学校の連携も深める。
最終的な目標は、避難訓練を地域ぐるみで行うことだ。

学校の管理体制を生徒が地域ぐるみで変えようというのだから、時間がかかりそうだ。しかし、私はこれは絶対に必要なことだと思う。それに気付かせてくれた東北ツアー、その東北ツアーを支援して下さった方々に、改めて感謝したい。本当にありがとうございます。

新たな避難訓練の態勢が整う前に、この地域に津波が来ないことを祈る。